防災とまちづくりを複合的に考える

徳島県の南の端、海陽町宍喰で防災訓練の調査を行ってきました。
具体的には小学生の避難訓練ですが、子ども一人ひとりにGPSロガーを持ってもらい、下校後警報がなった時にどの経路を通って、どのくらいの時間で避難先に到達するか、というのを記録するものです。
昨年12月には未明にある避難訓練で同様の調査を行いました。

宍喰地区は比較的多くの人口が平野部に住んでいるため、災害リスクが非常に高いと言えます。
こうした地区でまず実際どのくらいのスピードで避難する必要があるか、というのも大事です。
一方で、厳しい現実ばかりを突きつけてしまうと、ここに住む意義を見失ってしまうこともありえます。
宍喰での暮らしを充実させることで、日常的なコミュニケーションを活発化させ、災害時の声掛けなどの避難行動につながれば良いと思います。

一方で、過疎・高齢化が進んでいる地域では防災に限らず、祭りやイベント、集落の協働作業など様々な活動があります。こうした活動をバラバラにやっていくとますます個人への負担が増していくことを考えると、以下に複合的に実施するか?というのが重要だな、と思っています。
つまり、祭りを防災をセットで考えられないか? 地域を盛り上げるイベントと防災を一緒に取り組めないか?とか・・・

古い祭りなどもよく見てみるとその仕組や習わしの中にこれまでの先人の知恵がたくさん詰まっています。
こうした知恵を伝承する手段として伝統行事があったりもします。
つまり「ミッション」や「義務感」「責任感」だけではなかなか伝わっていかない、ということです。

防災関係の講演などをすると「防災訓練にワカモノが集まらない」とよく言われますが、であるならば強制的に参加させるよりも「参加したくなるような」防災のあり方を考えることも重要ではないかな、と思っています。
こうしたことも防災力を高めていくうえでは重要でしょう。

shishikui

写真は宍喰の高台に向かう避難路の古い階段です。
この階段、高齢者が登るには相当きつい。また落ち葉などがたまると滑りますね。
こうしたことをいかに楽しく解決していけるか、というところも知恵の出しどころかな、と思っています。