徳島県佐那河内村の移住政策に携わっています。
昨今、人口減少の進む中山間地域では「移住」が地域活性化の切り札として用いられ、多くの移住者を受け入れることが素晴らしい、という風潮があるように感じてます。
一方で、移住が円滑に進まない理由として「空き家」の不足があげられることが多くあります。
一方で、全国的には「移住政策の先進地」と呼ばれる地域も多くあり、そこには先進地の知見を学ぼうと全国から視察が訪れているようです。
しかし、本当に移住政策の成功=多くの移住者の獲得、なのだろうか。
人口減少が全国的にも進む中で、「人口」を地域状況を測るバロメーターにしても意味が無いからもっと地域独自の物差しを!と謳われている割には、移住政策に関しては移住者が多い/少ない、が注目されがちです。
佐那河内では「身の丈にあった移住政策」を考えています。
つまり、とにかくたくさんの人々を受け入れるのではなくて、地域に新しい価値や活力をもたらしてくれるような人を、地域の社会関係を壊さない程度に入れていく、ということを考えることが重要です。
もちろん、地方交付税も人口ベースで算出されるなど、数の重要性も分かりますが、いかに質を確保していくのか。
更に、移住者の募集や受け入れ、だけでなく、この計画では移住に伴う改修のあり方、新規に予定している公営住宅のデザインのあり方、、つまり佐那河内らしい景観を壊さないように地域の活力を高めるような方法を考えています。
結果として移住交流の計画であるのに、建物のデザインガイドラインが作られようとしていますし、新規開発のゾーニングも検討しています。つまり、移住政策を縦割りに考えるのではなく、「地域の魅力を高める」ことを計画の主テーマにおいて結果として移住者を戦略的に受け入れていこう、という取組みです。
先日は、研究室の学生にも協力いただいて、「結局、地域の魅力はなにか?」を出しあうようなワークショップを開催しました。魅力というとどうしてもアピールするネタ、のようですが、実はそれは地域が守らなくては行けない大事なもの、であるわけです。これから新しいトレンドも入ってきますが、このワークショップで上げたれたような魅力は、佐那河内が将来にわたって失ってはいけない、守っていくべきもの、と捉えることが出来ます。
この計画の行く末が楽しみです。。。
※ちなみに、この計画、更新型計画、というのを試みています。つまり、実践しながら計画を修正する、というものです。変化する地域の状況に寄り添うような計画のあり方、を模索しています。