地域への人的支援も含めた地域づくり研究
 2004年に発生した新潟県中越地震の被災地では「地域復興支援員」が過疎化の進んだ集落復興の場面で大きな役割を果たしています。また、全国的な動きとしても「補助金から補助人へ」の流れが生まれ「集落支援員」や「地域おこし協力隊」など、直接地域に人を送り込む取り組みが進められています。地域ではこうした人的支援を得ながら地域がどう元気になっていくのか、その変遷プロセスを構築することが重要である。また、派遣される支援員自身も具体的な活動がイメージできないなどの課題を抱えており、こうした課題への対処も重要である。
 つまり、人的支援では地域・支援員・行政、さらにはその支援組織などが地域の状況に応じて連携をしながら地域づくりに取り組む必要がある。これらの課題に対して、地域の状況を評価したうえで的確な支援手法を提案することが重要である。

小テーマ
 >人的支援の対象となる地域の状況把握手法に関する研究
 >人的支援の評価手法に関する研究
 >支援員へのサポート体制の研究
 >支援員を対象とした人材育成プログラムの開発
 >地域への人的支援研究会

中越沖地震の復興支援の実践研究
 柏崎市では2007年7月16日、中越沖地震が発生し、商店街を中心に大きな被害に遭いました。中心市街地における災害復興は単純が復旧活動にとどまらず、抜本的なまちづくりが必要である。田口研究室では、被災直後の意向調査から現在に至るまで中心部の「えんま通り商店街」の復興支援に取り組んでいる。本研究テーマは復興支援のプロセスから今後各地で発生することが予想される自然災害からの復興をどう支援するのか、体制や手法のプロセスデザインを実践を通じて一般化を図ることを目的としている。 
小テーマ
 >復興支援体制のプロセスデザイン研究
 >中心市街地の復興デザイン研究

農山漁村における自律的地域運営手法研究
新潟県にとどまらず、全国の農山漁村は過疎化、高齢化など様々な問題に直面し、存続の危機に瀕している。しかし、水源涵養や里山保全をはじめとして農山村が持つ国土保全上の役割は大きく、またこれらの地域の生活文化は今後の日本の暮らしを考える上で貴重であると言える。 過疎化高齢化が深刻化するなかで、どのように地域を管理運営していくのか、集落の規模、自治体の規模、圏域の規模、国土の規模様々な規模での検討が必要である。
小テーマ
 >集落における伝統的集落維持手法の研究
 >コミュニティ・ビジネス研究
 >近隣市街地居住者による集落支援の可能性に関する研究

市民を中心とした自律的まちづくり体制の構築プロセスデザイン研究
 まちづくりには、特定の危機感をきっかけに初動する「課題解決型まちづくり」と漠然とした不安や不満の解消、あるいはよりよい地域づくりの為などを目指した「課題発見型まちづくり」がある。
 前者は、地域において特定の課題が共有されているのでその解決を目指した行動は起こりやすい。一方で、特定の課題解決をめざした活動から、その対象を広げ地域自治にまで如何に高めていくか、というところに課題がある。一方後者の「課題発見型まちづくり」ではテーマ型コミュニティが中心となって初動するため、まずその裾野を如何に広げていくか、ということころに課題がある。その方法としてアウトリーチ活動が行われてはいるがなかなか難しい現状がある。
 さらにはこれまでは行政を中心にまちづくりが進められてきたが、行財政の悪化や価値観の多様化により、行政による一方通行的な公共サービスは期待できない。これからは、行政依存の体質から脱却し市民を中心に据えた持続的な相互補完の仕組みを構築することが重要である。
 これらの課題解決をめざし、地域住民(市民)を中心とした持続的なまちづくりの仕組みを「市民を中心とした自律的まちづくり体制」とよび、その構築プロセスのデザインを目指す。

小テーマ
 >市民まちづくり支援研究
 >コミュニティ・ランド・トラスト研究
 >市町村合併後の地域自治区研究
 >沖縄地域における自律的まちづくり研究

子どものまちづくり研究
「子どもは将来のまちづくりの担い手となる」。故に、子どものまちづくりは将来の担い手育成の面からも、大変重要なことである。とくに、近年の教育指導要領の度重なる変更などから児童教育は岐路に立たされている。また、過度な学校依存や学童保育など家庭教育の崩壊がすすむ中、「地域教育」など地域の教育力が求められている。そこで、子どもが地域に愛着を持ち、積極的にコミットしていく仕組みをつくることは、地域の教育力を高め、さらには将来の担い手育成にもつながると考えられる。
小テーマ
 >まちづくり学習のプログラム開発研究
 >子どもの都市計画教育のプログラム開発研究