稲盛将彦さん guest 旅好きな青年があちこちの風景を見てまわる一つの思い出として何気なく訪れた祖谷。いい場所だと感じたその時は、ここに住むことなど考えもしていなかった。これは、現在の稲盛さんの祖谷で暮らすことに対する考え方、生き方を表していると感じた。稲盛さんが、祖谷でされていることは郵便配達と祖谷に光を当てること、住民に呼ばれれば農作業の手伝いをするといった土着的で祖谷にしっかりと腰を据えた働き方である一方、祖谷に骨をうずめることは決めていないという。そのバランス感覚が素敵で、一生暮らさなければいけないと思ってしまうと力みすぎて息苦しくなってしまうが、稲盛さんにはそれが起こりにくいのではないだろうかと考えた。
 山間部に移住すると、そこで一生暮らす覚悟を住民から求められる。しかし、本当はそのような覚悟は必要なくて真摯に地域と向き合って生活することが大切なのではないか、またそれを稲盛さんは大切にしているように思えた。肩肘張らないことは、もちろんのことであるが。 今回のお話を聞いて、“もっと気を楽に持って地域と関わっていってもいいんだ”という気持ちになれた。そうすることで、地域の色に無理に染まることなく自分らしさを持って地域に溶け込むことができる。そういう人がいると地域は時代に沿って少しずつ変容してくのではないだろうか。最後におっしゃっていた「勝手口を作る」という言葉。その本質を今の私にすべて理解することはできないのかもしれないが、そういう意味を持ち合わせていると考えた。また、今後の私の生き方に大きな助言ともなった。今回遠路はるばるお越しいただき、また祖谷のお茶まで用意していただきありがとうございました。
<文責 小松輝>
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